ホルモンの語源については様々な説がある。内臓の肉は食べられずに捨てられていたことから、大阪弁の「放るもん」、つまり、「捨てるもの」から来ているとか、食べると活力が湧く「ホルモン」が内臓肉にはたくさん含まれていることなどから由来する。関東では「もつ」と呼ぶことが多いが、関西は「ホルモン」が一般的である。
ホルモン料理は多種多様だが、西成では鉄板焼きの「焼きホルモン」と鍋やうどんに添えられた「煮込みホルモン」が名物。
焼きホルモンは豚ホルモンやキモ(レバー)が人気で、部位によって異なる豊かな食感を楽しめる。熱された鉄板の上で独自のタレと十分に絡み合ったホルモンは焼き上がりと同時に提供される。ニンニクを使った特徴的な濃い味付けは食欲を掻き立て、一度食べたらやみつきになる。当たり前だが酒に合う。ちなみに店によっては暗黙の注文ルールがあったりする。とはいえ事前に予習する必要はほとんどない。隣のおっちゃんに聞けばきっと親切に教えてくれるはず。
牛の肺や小腸を使った煮込みホルモンもハズせない。柔らかく煮込まれたホルモンに唐辛子の粉を真っ赤にかけて食べるととてもおいしい。それを麺の上に添えたホルモンうどんやホルモン中華そばもまた格別。ホルモンの脂が丁度よく溶け込んだスープと麺の相性は抜群だ。
西成のホルモン屋のいいところは、なんと言ってもその手軽さにある。時代が変わった今でも良心的な価格を貫く店が多く、サク飲みにもってこい。ほとんどの店が昼から開店していて、中には朝飲みできる店もある。もくもくと漂うホルモンを焼く煙は「飲んでいけや」とこちらに手招きしているようである。ついつい飲み過ぎてしまっても問題なし、ここなら泥酔姿もサマになる。仲間とハシゴするもよし、一人飲みに挑戦してみるもよし。
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